学ぶ保険 企業を守るベストアドバイス 第2回(全12回)
相続税法24条の賢い活用
税理士新聞 2006年6月15日 掲載記事
相続税法24条を活用する生前贈与対策と相続対策
定期金給付契約の給付事由の発生により定期金を受け取ることとなった場合に、定期金の受取人以外の者がその保険料の全部または一部を負担していた場合には、その給付事由発生時において受取人のその支給を受ける権利のうち、受取人以外の者が負担した保険料に相当する部分は、実質的に保険料を負担した者から贈与によって取得したものとみなして贈与税が課税されることになります。(相法5)
父が契約者として個人年金に加入し、子がその契約に係る年金の受取人である場合、保険料の実質負担者である父から子への年金受給権評価額の贈与となります。年金受給権評価額とは相続税法24条の「定期金に関する権利の評価」をいいます。(相法24)
確定年金に関する年金受給権の評価方法は、年金受取期間が長ければ長いほど、総受取額に乗じる割合が下がり、贈与税の課税価格も下がる結果になります。(下図)

※上記図中の数値はすべて概数。簡略化するために年金による運用益は無いものとして表示。
個人年金の活用で贈与性圧縮
父から子に1億円の現金による贈与を行う場合、基礎控除額110万円控除後の9,890万円が課税価格になります。しかし、個人年金を活用し、年金受給権として贈与を行う場合、課税価格を圧縮することが可能になります。
例として、一時払保険料1億円、年金受取期間36年の個人年金に加入するものとします。契約者:父、被保険者および年金受取人:子という契約形態の場合、年金受取開始時の贈与税の取扱いは契約者(父)から年金受取人(子)への年金受給権の贈与です。課税価格は、年金として受取る総額が1億円の場合、その20%(35年超の年金受給権の評価割合)を乗じた2,000万円となり、他に贈与が無い場合、基礎控除後の1,890万円が課税価格になります。1億円の現金を贈与する場合と比較して8,000万円分の評価額を圧縮することになります。保険会社ごとに、年金受取期間を最も長く設定できる期間は10年〜36年まで幅があり、また、契約から年金開始(贈与)までの期間は1年〜10年まで同様に幅があります。
| 会社名 | 保険種類 | 据置期間 | 最長年金受取期間 |
|---|---|---|---|
| A社 | 変額個人年金 | 10年 | 10年 |
| B社 | 利率変動型終身保険 | 3年 | 36年 |
| C社 | 確定個人年金 | 5年 | 15年 |
| D社 | 利率変動型終身保険 | 3年 | 25年 |
| E社 | 変額個人年金 | 10年 | 15年 |
| F社 | 利率変動型終身保険 | 3年 | 30年 |
| G社 | 利率変動型個人年金 | 1年 | 30年 |
| H社 | 外貨建て個人年金 | 6年 | 20年 |
| I社 | 利率変動型終身保険 | 3年 | 30年 |
| J社 | 変額個人年金 | 3年 | 36年 |
※保険の優劣は単純に比較することはできません。
相続対策に遺族年金方式
また、これとは別に、生命保険の死亡保険金は、一時金で支払われるのが一般的ですが、あらかじめ死亡保険金の受取方法を遺族年金方式に設定することにより、相続発生時のみなし相続財産としての評価額を圧縮することが可能になります。例えば、1億円の生命保険金を一時金で受け取るのではなく、36年の遺族年金方式で受け取ることを契約すると、相続発生時には2,000万円の相続税評価になります。(相法24)
この取扱いが適用されるための留意点は、保険事故(死亡)発生前、つまり契約時または中途付加により保険金受取方法を遺族年金方式に指定することが必要であるという点です。死亡保険金請求時に申し出た場合、一時金相当額がみなし相続財産の金額とされています。
税務の取り扱いについては記事掲載日現在施行中の税制によるものです。将来的に税制の変更等により記載されている内容が変更となる場合がありますのでご注意ください。
山本 周
保険サービスシステム株式会社
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
