学ぶ保険 企業を守るベストアドバイス 第1回(全12回)
生命保険金の非課税枠の活用法
税理士新聞 2006年6月5日 掲載記事
生命保険は相続の発生と同時に保険金という名の現金が遺族にもたらされる特性を持つゆえに相続とは切っても切り離せない存在であり、相続税法上も優遇されている面があります。今回は生命保険を活用した相続税節税対策をご紹介します。
無審査で加入可能な商品
まず、生命保険金の非課税枠の活用に適した保険です。
通常現金を相続した場合にはその全額が課税財産とされますが、生命保険金については、「法定相続人の数×500万円」まで非課税とされています。(相続税法12条)
ところが、この生命保険金の非課税枠を確保するためには、被保険者となる被相続人が加入時の診査をパスしなければならず、年齢や健康上の理由で加入困難な場合も多く、実際に非課税枠の確保が難しいケースもあります。ところが、最近は無診査で加入できる生命保険が登場しています。大きく分けて2種類あります。
1つ目は終身保険で、「無選択型終身保険」といいます。
このタイプの保険は数社が取り扱っています。各社80歳まで加入可能で、1社あたりの加入限度保険金額は300万円というのが一般的です。各社に横断的に加入することにより2,000万円以上の保険金額を確保することが可能になります。しかしデメリットもあります。加入してから2年以内の病気による死亡は保険金額ではなく払込保険料総額が支払われるのが一般的です。また保険料が割高に設定されているため保険料払込期間が長期にわたる場合、支払保険料の累計額が保険金額を上回る逆転現象が起こります(図1)。加入する際には慎重に検討する必要があります。

特約を賢く活用する
無診査で加入できる生命保険の2つ目は一時払い個人年金保険です。一時払い保険料として例えば2,000万円払い込むとします。年金開始までの据置期間中に相続が発生すれば、最低でも一時払い保険料相当額は遺族に支払われます。この時に「生命保険金」として支払われますので、現金という課税財産が、非課税財産になって遺族に戻る仕組みができます(図2)。

一時払い個人年金保険は多くの保険会社が取り扱っていますが、殆どが変額年金保険であり、中途解約時の返戻金が払込保険料(元本)を下回るリスクに注意する必要があります。一方、定額年金保険は中途解約時の返戻金は確定しています。非課税枠の確保だけを考えるのか、リスクを取って資産運用としての機能も考えるのかにより、選択する保険も変わってきます。 また応用策として、予め死亡保険金を年金として受け取る特約を付加することで更に効果を高めることもできます。
この特約を付加して死亡保険金を年金受け取りする場合、相続財産としての評価は相続税法24条の「定期金の評価」により評価することとなります。例えば、受取期間が35年超の場合、受取総額の20%の評価になると考えられます。そして非課税枠はその評価額により計算することになりますので、非課税枠2,000万円の場合、現金1億円という課税財産を非課税財産とすることも可能になります。
山本 周
保険サービスシステム株式会社
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
